スモールワールド/ダンカン・ワッツ
1部はネットワークの構成の紹介。いわゆるトポロジ(静的モデル)の説明で、作り方とかクラスター係数。
2部がネットワーク上でのダイナミクスが4つ。
- 感染病疾患の拡散
古典的な病気拡散のモデルは集団(ネットワーク)の構造は考慮されなかった。
Kareiva(1990)の「飛び石モデル」は集団は空間的かつ社会的に高度に構造化されている、
という事実を重要視。ただし連結状態はランダム。
ノード・・・未感染者S、感染者I、回復者Rの3種。
更新ルール・・・未感染者は結合のある感染者から確率ρで感染。
パラメータ・・・感染率ρ[感染者が未感染者に感染させる確率]
測定量・・・定常状態での未感染者の割合
結果・・・ρ→1でS→0
また、病気の拡散はネットワークの固有パス長に敏感に反応する。
- セルオートマトン(CA)実験
従来のセルオートマトンは1次元格子で有限数 → ネットワークに拡張。
遺伝的アルゴリズム(GA)
ノード・・・オン/オフの2種。
更新ルール・・・自分の近傍ノードからのインプットによって自身の状態を変更。
条件・・・有限時間後の全体の状態を測定。
パラメータ・・・全リンクの中に存在するショートカットの割合Φ
測定量・・・不偏性能P(P=1のとき半数以上がオフであった場合に全体がオフになる)
※100通りの初期条件を繰り返した結果のP
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- 密度分類問題
初期状態において半数以上がオフであった場合は、全体がオフになるか?
結果・・・Φ→1でP→1
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- 同期問題
初期状態にかかわらず、セルがオン/オフ情報を繰り返すようなセルオートマンを作れるか?
結果・・・Φ→1でP→1
- ゲーム理論の実験(協調性)
ゲーム理論によると「しっぺ返し」戦略が一番強い。
局所的なルール<-->全システムにおける強調者の割合(ダイナミクスの大域的特性)
よって大域的なダイナミクスの変化は結合トポロジに関連するはず。
ノード・・・プレイヤー(すべてのプレイヤーが同じ戦略)
更新ルール・・・2つあり 以下詳細
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- 一般化されたしっぺ返し
パラメータ1・・・すべてのプレイヤーで同じ値を取る硬度h
(h=0のとき常に協調、h=1のとき常に裏切り、h=0.5で二人の場合はしっぺ返し)
パラメータ2・・・全リンクの中に存在するショートカットの割合Φ
測定量・・・定常状態における協力者の割合
直前のステップで協調した隣人の割合を計算しhと比較。hより大きければ協調。
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- Win-Stay,Lose-Shift
測定量などは上記しっぺ返しと同じ。
プレイヤーが直近の隣人と対戦し、利得を計算。隣人の平均利得以上の点数をとったら、
「勝ち」として現在の行動を維持。「負け」の場合は反対の行動に変化。
結果・・・あるhの範囲においてスモールワールドでは協調がうまくいく。
- 作者: ダンカンワッツ,Duncan J. Watts,栗原聡,福田健介,佐藤進也
- 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
- 発売日: 2006/01
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