Collective behaviour: When it pays to share decisions
Larissa Conradt
Nature 471, 40–41 (03 March 2011)


魚の集団が、敵をよけたりするのに「正確」(accurate)で「迅速」(fast)な判断を下すには、
集団を構成する数が増えるほど、よい、という別論文*1のレビューを主にしたエッセイ。


大きな集団ほど、一匹のスイミーみたいな判断の早い賢い魚の存在が存在しやすいから、ではない。
もしスイミーが間違った情報を言い出せば、あっという間に群れは壊滅してしまう。
言い出しっぺ(decision maker)が常に中心にいるわけではなく、言い出しっぺがどこにいてもいい集団だからこそ、情報は選択され、迅速に伝わる。


ただし、このような意思決定はまだ以下に3つの警告をはらんでいる。

  • decision makerが幅広く存在しうることより、ただ1人の間違えない絶対的な専門家の存在の方が有利
  • information cascadesで間違った情報が、元の言い出しっぺの意見から独立して走り出してしまう危険性
  • 多くの実際の紛争なんかでは、決定される結果は、集団が多いほど多様=1つの意見に収束する必要はあるか?


PNASの方の論文も読んでおきたい。

*1:Ward, A. J. W., Herbert-Read, J. E., Sumpter, D. J. T. & Krause, J. Proc. Natl Acad. Sci. USA 108, 2312–2315 (2011).