Modelling the scaling properties of human mobility

C. Song, T. Koren, P. Wang, and A.-L. Barabási
Nature Physics 6, 818–823 (2010)


先日読んだScience論文の同著者らによる論文。
携帯電話の位置データを用いて、人の動きの予測可能性を求めモデルを作る。
実データから得られる結果では、滞在時間や、移動距離でベキ分布が見られ、
人の動きはLevy flightやcontinuous-time random-walk(CTRW)でよく記述できそうだが、
これらはランダムウォーク理論を元にしていて、人の動きがランダムでないのは言うまでもない。
と、いうことで彼らが作ったのがIndividual-mobility model。


モデル化して再現している着目している統計量は以下の3つ。

  • S(t):時刻tまでに訪れたことのある場所の数の分布 → 時間に対して0.6乗程度、Levy flightなら1乗
  • Visitation frequency:場所ごとに訪れている頻度の分布 → ベキ分布になる
  • Ultraslow diffusion: 平均二乗変位(MSD) → 拡散、ランダムウォークなら時間に比例するが、異なる


モデルのルールは以下2点がキモとなる。

  • Exploration: 新しい場所を訪ねる。訪ねたことのある場所が多くなる程、確率は低くなる。
  • Preferential return: 家や職場のように毎回帰る場所は、ますます帰る。


この2つの間で確率を2分し、さらにPreferential returnはこれまでの訪問回数に比例する確率で訪問する。
すると実データがよく再現できるという。