田代 徹 (お茶の水女子大学)「まねる集団の普及率の変化と階層ロジスティック方程式」

流行の伝搬の様子を普及率の動的変化を通じて議論する。
従来の普及率の議論にロジスティック方程式を使ったものがある。しかしこの方程式が誕生したそもそもの目的は生物の個体数の増加を記述するためで
あり、なぜ普及率の動的変化に応用できるのかは、自明な問いではない。
そこで本発表ではまず、ロジスティック方程式の背後にある、流行がひろまる要因となる人間間のコミュニケーションは、「まね」する行為にあることを明らかにする。もちろん「まね」とは流行が広まる上で重要な要因ではあるが、ロジスティックモデルでは、あまりにも簡単に「まね」しすぎている。
そこで今まで何人の流行を取り入れた人に出会ったかという記憶を盛り込んだ、階層ロジスティック方程式を考案した。当日はその詳細と実データへの応用を試み、発表する。


階層ロジスティックとは,直接模倣するのではなく,2次,3次と遅れて感染する効果を取り入れたロジスティック.
iPodを持っている人2人にあったら,買いたくなる[=2次]という様子を表す.
実データのiPodのデータや,アフリカでの携帯電話の普及率のデータを非線形フィットする.
非線形フィットが特殊で,最小二乗誤差と相対誤差の積で決める,という方法.
すると1次よりも2次が大きく,また3次以降は非常に小さいという結果.
二人から聞いたら話を信じやすいとか,トライアングルが閉じやすいとかそいういうことと関係しそうで面白かった.


将来展望でBassモデルについて触れていたが,外的な広告の効果と同義で使っている様子なのが気になった.
元のBassモデル論文を見直したが,広告には触れられていないので未だ???という,状態.
もしかすると,pのイノベーター係数とqのイミテーション係数で,自発的なpのことを指しているのかもしれない.
ご本人はブラックホールとか宇宙物理が専門なので,この後しばらくはこのネタはやらないとのこと,残念.