知的文章とプレゼンテーション ― 日本語の場合、英語の場合 /黒木登志夫


比較的新しい(2011年4月),論文,プレゼンの極意的な本.
筆者は研究生活50年超えて,東大を定年してからPCも触ったとか言っている.実際1936年生まれの75歳(執筆時)ので,最後のコンピュータを使いこなす,というのはあまり真新しさは見られない.


本書で注目すべきは,論文を書く人.審査する人,申請書を書く人,申請する人とそれぞれの立場からの極意を書いている点かもしれない.少なくとも私はこれまで申請書を審査する人の心得,なんて読んだこと無かったので新鮮だった.

「審査結果は100%間違いはないか」と問われれば,われわれは,正直のところ「イエス」とは答えられない.しかし,「大きな間違いはしていない」ことだけは,自信をもって答えられる.


なるほどー.そういう視点で科研費の申請なんかも審査しているのかと思った.


論文を書く時は「起承展結」で「転」は必要ないというのも納得.
英語は,発音まで正確にきれいにしようとするのではなく,あくまでも手段としてわりきるべし.
いつのまにか英語の「幸せな奴隷」にされてしまっているのだから,仕方ない,というのも納得.


村上春樹からNatureまで引用文献が充実しているのも,最後に自分の文章を平均長さとかまで分析しているのも科学者らしい本.
各章ごとに最後に言いたいことを簡潔にまとめられているので,論文を書く前とかに読み返したい.

知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合 (中公新書)

知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合 (中公新書)