Collective Motion of Moshers at Heavy Metal Concerts
Jesse L. Silverberg, Matthew Bierbaum, James P. Sethna, Itai Cohen
arXiv:1302.1886


ヘビメタコンサートでの客の動きを解析して,気体分子アナロジーで明らかにしようとする意欲的な論文.
YouTubeから拾ってきた動画で,人の動きの速さを抽出して分布をプロットすると,気体分子の定常状態での速度分布であるMaxwell-Boltzman分布とそっくりになった.明らかな非平衡状態の会場で,このような定常状態の分布が出るのはなぜだろうか.と,自問している割には答えは出てない.
circle pitsと呼ばれる渦のようなくぼみが自発的に生じるらしいが,その95%が反時計回り(couter-clockwise)らしい.これも謎.オーストラリアでも同じらしいので,時点には関係ないのか.


モデルでは,自発的に動き回る人と,そうでない人2パターンのエージェントを想定する.そして,エージェントは,(1)近い人からの斥力(repulsion),(2)自身の推進力(propulsion),(3)全体の速度が増す程,群れたい傾向(flocking),(4)ガウシアンノイズの総和で状態が遷移する.もちろん,簡単には解析解は出ないので,シミュレーションで再現.すると,受け身な人もアクティブに変わり,自発的に全体の熱狂が生まれるとのこと.
シミュレーションなので,どのくらいpits circleが持続されるのかも予測できるので,安全保安上もよさそう.


まだまだ荒削りではあるけれど.今後に気体できる面白い論文.最後に

Fieldwork was independently funded by JLS.

と,書いてあるのも笑える.