Geographic constraints on social network groups
Jukka-Pekka Onnela, Samuel Arbesman, Albert-László Barabási, Nicholas A. Christakis
arXiv:1011.4859


著者は携帯電話のネットワークで相転移のような現象を見出してた、
フィンランドのKaski研出身のJ.-P. Onnelaさん。
携帯電話のデータ(data from an unnamed European country)を使った解析。多分データはnokiaの持っているフィンランドのデータ。
これまでの研究と異なるのは、実距離の相関のを入れて解析している点。
類似の実距離を含めた携帯電話のネットワークの解析は、
フィンランド滞在中にレビューで聞いた、ベルギーでの研究があり、
そこでgravityモデルというのがある。


ベルギーのデータで「実距離」と言うのは、携帯電話の契約者のzipコードで決まっているが、この論文で言う「実距離」は実際に携帯電話を利用したときの最寄りアンテナ(the location of the tower routing the communication was recorded)で決まっている点で異なる。
そのため、横軸に実距離、縦軸にリンクの確率密度を取った場合、
分布は共にベキ関数的に落ちるが、べき指数が、1.58(voice)と1.49(text)なるのに対して、ベルギーでの先行研究では2と言う値で異なっていたりする。
ちなみに実距離と、リンクの強さ(call回数で定義)は相関がきれいに見えていない。


次にネットワークからコミュニティを抽出して、コミュニティ内の距離を、topology的なものと、実距離で比較するも、ほぼ相関はない。
コミュニティに参加している人数と、コミュニティ内の実距離を使ったサイズでは、当然、参加人数が増えるほど、コミュニティサイズは大きくなるものの、ランダマイズしたモデルと比較すると、その増え方は実データの方が断然小さく、やはり、コミュニティというのは、実距離の近い人同士でできやすいんだね、という結果。
しかし、コミュニティの参加人数が30人を増えるあたりから、コミュニティのサイズは急に大きくなる点が興味深い。
地理的に粘着質のあるグループというのは、30人くらいまでだろうと考察されている。


「群れ」という意味のclumpという英単語が多用されていた。