Modelling the Spatial Dynamics of Culture Spreading in the Presence of Cultural Strongholds
Ludvig Lizana, Namiko Mitarai, Hiizu Nakanishi, Kim Sneppen
arXiv:1101.3998


日本の方言の広がりをモデル化した論文。
東京では「バカ」が多く使われるが、京都では「アホ」が多く使われる。
これは日本人なら周知の事実で、簡単なモデルで説明する。


モデルは簡単な2次元正方格子で、格子上に言葉を配置して、
その言葉が自己増殖し、ランダムに隣の格子にコピーされていく。
このとき、既に古い言葉が格子にあった場合には、新しい方が常に勝つ。
#ちなみに古い言葉が勝つ確率をpにして、p=0.8だと現実と違う結果になってしまう。
シミュレーションでは日本の国土を15kmや5kmのメッシュに切る。
メッシュの切り方によって、見えてくる定量的な結果が異なるので、
いろいろ試行錯誤があったのではないかと察される。


これまでに言語学でも方言が広がるモデルはあったが、
本論文で提示される簡単なモデルは、バクテリア成長のFisher's equationだとか、
表面成長のモデルEden surface growthとも似ていてるというのが特徴で、
物理学者が言語学に入り込んできたメリットは、そこにあるのだろう。
実際のシミュレーションもウェブ上で公開されていて楽しめる。


海外に移住して、研究してますます活発に活動している様子の友人に
こちらもとても励まされる思い。