Fast and accurate decisions through collective vigilance in fish shoals
Ashley J. W. Ward, James E. Herbert-Read, David J. T. Sumpter, and Jens Krause
PNAS vol. 108 no. 6 2312-2315 (2011)

Natureの群れ論文で引用されていた元論文。
「群れ」といっても最大16匹までの魚の集合を使った実験の報告。


mosquitofishの一種を、Y文字型の水槽に入れて、approach zone、decision zone、そしてY字路の片側に、ダミーの捕食者を入れ、避けてもう片側のopenエリアに行けるかで、実験する。
実験は、1匹の場合はどのくらいで避けられたか、2匹、4匹、8匹、16匹で比較。


どのくらいの割合で避けられるか(accuracy)は、8匹ぐらいの段階でサチってはいるものの、緩やかに上昇。
もう1点、どのくらい早く気づけるか(fast)も問題なので、それぞれ、approach zone、
decision zoneでの魚の速度を測定する。
特に1匹の場合の結果が顕著で、はじめのapproach zoneと比較して、
decision zoneでの速度が半減する。それに対して、2匹になると差が小さくなる。
また全体のスピードも16匹の場合が最も早い。


群れの前半(leading fish)と、群れの後半の魚(following fish)では、捕食者に気づく能力に際はみられない。
また、first fishとsecond fishの間の距離は2-6cmくらいが最適で、向いている方向に差がみられない。それ以上になると、向いている方向に相関が見られなくなる。
時間に関しても0.5secくらいに対応する。
#この辺りになると、魚の大きさや特性そのものが問題になりそうだが、どうやらこの章はeditorからのアドバイスで追加した模様。


最後のdiscussionによると、

diversity of the group members’ abilities cannot effectively explain the observed increase in decision-making speed and accuracy with increasing group size.

とのことでdiversityはそんなに重要ではない、と。