もっとも美しい数学 ゲーム理論
トム・ジーグフリード


ゲーム論のといえば,ナッシュ均衡,タカハトゲーム,囚人のジレンマなど
有名なトピックは多く,それらを紹介した,数学マニア向けの本かと思ったら,違った.


内容は,経済学のアダムスミスの国富論から,2000年代のバラバシらの複雑ネットワークまで,もちろん,ナッシュの話も含む盛りだくさんな内容.
本書には「社会物理学」という話もでてくる.マクスウェルの気体分子の運動をバラツキはあるが統計的に扱おうというアイデアは,同年代の社会学者ケトレー(元々は天文学者)のやっていた,出生率や死亡率などの社会の統計を扱い,そのなかで年代によってほぼ変わらない値がでるという研究に触発されて生まれたらしい.
そう言う意味で社会(経済)物理学は,統計物理学の手法を社会に対して行なう,というよりはむしろ原点回帰に近いことをしているらしい.

ただし,19世紀に社会物理(というか社会の統計に見られる普遍性)という観点を提示したケトレーも,統計にたいして不用意な解釈を加えることの危険性を指摘し,特定の個人に関する結論を導いてはならないと強調している.この辺りも重要な観点.

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