ロウソクの科学
ファラデー

本書の内容は,1861年末のクリスマス休暇に,ロンドンの王立研究所で開催された連続六回の講演の記録である.講演者は同研究所の教授マイケル=ファラデー,記録者はウィリアム=クルックスであった.

という本書.ロウソクが燃えて,空気中の酸素反応して水分ができること,二酸化炭素ができることなど,いちいちその性質を細かに解説しながら進む.日本のロウソクも紹介されている.
さらに,

読んでいると,それは危ないのではと思うような実験,火花をちらしたり,きっちり爆発させたり,一酸化炭素を発生させたりと
それはもう,楽しいマジックショーみたいな授業なのだったのだろうと,思える.
その時,ファラデーは70歳近くなのだが,生き生きとした「青年」の様子が伝わる.


ファラデー自身が貧しい家の出身で,丁稚奉公していた製本所で,主人の理解を得つつ,手探りで実験をして,
大学の助手,いろいろな発見をしながら成長していった彼自身のバックグラウンドを反映している,心温まる授業.
残念ながら,それが本になると正直伝わりにくい.ともあれ,最後にあるような
ロウソクのように,正当に,美しく生きよう!,と伝わってくるすてきな授業.

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)