道化師の蝶/円城塔

今年度の芥川賞受賞作であり,作者が東大金子研出身の方.
文藝春秋を買って読んだので,選考会の書評,石川慎太郎,山田詠美なども興味深かった.
読んだ率直な感想は「よくわからない」.
見えないものを,なんとか捉えようとしているところは,「力学系マップ」みたいなイメージ.
(どちらも,私自身がよくわかってないのだけれど,そういう点での評価.)


石原さんや山田さんが,あまり好意的な印象ではなかったのも納得.
反面,好意的だったのが,川上弘美(御茶大の生物出身)と小川洋子(「博士の愛した数式」の作者)で,
彼女らの作風からも,円城作品に票を投じるのは納得できる.


文藝春秋には受賞者のインタビューも載っていて,作者が取り組んでいたのが「絶対言語」のようなものというところで,作風ともマッチして納得した.
虐殺器官」で虐殺の文法を描こうとした,伊藤計劃の未完の作品を引き継ぐのも納得.
そういう感じで調べると,彼の英語の論文らしき「The articulation process(発話プロセス)」を扱ったものもあったが,これはさらに,難しそうなので止めておいた.


道化師の蝶

道化師の蝶

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)