バースト! 人間行動を支配するパターン
アルバート=ラズロ・バラバシ (著)

新ネットワーク思考に続く,バラバシによる一般啓蒙書2冊目.
結論は,決してラダムではなく,案外人間の行動は予測可能だ,といったころか.
全体としてはこんな例もありまっせー,と事例紹介をおもしろおかしく.


予測可能,というのの裏付けとして,「バースト」という性質がある.
バーストは,短時間に集中して何かを行うことで,その後には長い沈黙の時が訪れる,という行動のパターンである.
その行動間隔の分布がベキ分布になるという.
バラバシはこの現象を説明するのに,優先順位モデル(Priority Queue Model)である.
人間は各々「やることリスト」を持っていて,限られた時間内でそのタスクを処理する,というモデルである.
詳しくは第13章の「バーストはなぜ起こるのか」にある.


個人的には,第17章の「アホウドリを追いかけて」が面白かった.
人間だけではなく,鳥の行動にもバーストがみられること.(Levy flightと呼ばれる.)
また,人間の目が新しい像を把握する時の視線の動きもLevy flightに従うこと.
すなわち

バーストの起源が,人間の意思や意識よりももっと基礎的なところにあることをほのめかしているからだ.


さらに,17章に登場するスタンレーの話も面白かった.1973年のモスクワのとある会議.
イスラエルに移住するためのビザを申請した罪で,ロシア人物理学者3人が会議への出席を禁止された.
スタンレーは彼ら3人に,個人のアパートメントで研究発表をする機会を与え,会議の出席者に公然と呼びかけた.
その罪で,スタンレーはKGBに高層ビルの最上階に連れて行かれた.
しかし結局,翌日スタンレーはアパートでKGBの監視のもと,この地下セッションを開催できたとのこと.
この功績でスタンレーはマイケルソン人道主義支援章を授与されている.


バラバシの目標は

人間の行動において,何が普通で,何が独特かという問題に取り組むことである.

とのこと.

バースト! 人間行動を支配するパターン

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