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明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性
デイヴィッド・オレル
予想する科学の過去,現在,未来を概観できた.
筆者は数学者で,モデル誤差の研究を博士課程の時に始めた.
指導教官のレニー・スミスは研究テーマとして,モデル誤差を提案してくれた.
それが新しい,いわば地図に載っていない領域だからというのがその理由だ.
二つの異なるモデル,つまりアメリカのモデルとヨーロッパのモデルによる予報を,実際の天気と比較した実験は,ほんのわずかしかなかった.
特に過去の部分が興味深かった.
ニュートンが科学研究から退いた後,イギリス銀行造幣局長官の職に就いたのは有名な話だが,実はピタゴラスもまた,地元の貨幣鋳造所の所長となり,地域で初の貨幣鋳造をしたと信じられてすらいる.
紀元前6世紀,ピタゴラスはピタゴラス教団という,厳しい戒律に縛られた秘密結社のような学派を率いたが,最後はその秘密主義的なものが住民の非難の的となり,ピタゴラスは難を逃れた先で死んだと思われいる.
数学で音楽,天体の動きすべてを説明できると信じていたピタゴラスも,「群衆の狂気」には歯が立たなかった.
その他にも,コペルニクス,ガリレオ,ダーウィン,ゴルトン,ケトレー,ローレンツ,アインシュタインなど,方程式もしくは数理モデルから予測する科学の歴史がこれでもかというくらいに詳しく書かれている.論文のイントロなど書くとには読み返すとよさそう.
現在と過去はまあそんなに真新しいものはなかった.言い訳がましい「予測」に関する冗長な説明といった印象.
用語の説明も巻末にあるし,それなりに資料としては手元にあると便利.
明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性
- 作者: デイヴィッド・オレル,大田直子,鍛原多惠子,熊谷玲美,松井信彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/01/22
- メディア: 単行本
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