重力とは何か - アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る/大栗博司


カルテックの日本人教授による宇宙論
あとがきにもあるように,彼が卒業して30年来会っていない同級生に書くとしたら,という視点で書かれたそうだ.彼らは,科学から遠ざかっているものの,好奇心旺盛で,筋道だって話せば理解してくれる,そいういう人向け.だから,思ったよりは少し行ったり来たりしながら読まないと理解できなかった.もしかしたら100%理解できているか不安になる点すらある.
帯に「ベストセラー10万部突破!」と書いているので,日本人はなんと賢い民族なのかと思ってしまう.


とにかく私に取っては単語は知っているし,習ったような気がするが,なんだっけな・・・,みたいな話題が満載.
アインシュタイン相対性理論が実社会でGPSとして役立っていることは知っていたが,何がどう,というのは分からなかったが本書で解説有り.
GPSは3次元の位置座標と時間の合計4次元の情報を使って,位置を正確に把握している.特殊相対性理論によると,高速で移動している物体は時間がゆっくり進むから,GPS用の人工衛星からの信号を同時刻と思って受け取ると,地上ではマイクロ秒単位のずれが出る.でもそれは地表で位置に変換すると10kmのオーダーで差がでるから,正確なGPSとして利用するためには,相対論で予想されるずれを加味しないと行けない.とか.


量子力学で出て来る,2つの不確定性原理,似て非なるものなのだそうだ.知らなかった...
1. 1つの量子状態は固有の位置と速度を同時に持つことは無い,という不確定性原理
2. 位置を正確に測定しようとすると,その行為自体が速度を変化させるので,速度を正確に測ることができない,という観測者問題としてのハイゼンベルグ不確定性原理


「ヤン=ミルズ問題」は場の量子論を数学的にきちんと理論にしなさい,という問題.
場の量子論は,量子力学的に大自由度の系を考える=統計力学,理論ということだろうか.(ちょっと自信ない...)


超弦理論(superstrings theory),原子>陽子,中性子素粒子=クオーク(フェルミオン[粒],ボソン[力])>フェルミオンとボソンが相互作用する仕組み=めーーーーーちゃ短いプランク長の弦,
この弦が宇宙の最小単位で宇宙の根源を説明すると期待されている.
一般相対性理論量子論を統合する理論(量子重力理論)となることを期待されている.


絶妙のゆらぎと,バランスの上でこの宇宙が成り立っているのは分かった.
だから,人間原理という宗教じみたところに行き着いてしまうのだろう.
それでもそれを最終兵器としてギリギリまで使わない,心意気が大切.

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

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