今この世界を生きているあなたのためのサイエンス/リチャード・A.ムラー


縦書きで書かれた,数式もない,でも身近な科学の解説本.

前編はテロリストと原子力についての言及が多い.
広島に落とされた原爆が,ウラン爆弾で,長崎に落とされた原爆が,プルトニウム爆弾であるとか.
いいとか悪とかは問わない.どうやって爆発をして,どの部分が難しいか(ウラン濃縮方法など)などが淡々と,書かれる.


後編は特に環境問題に対する問題提起が秀逸.
どうやって,政治家が一般市民を脅しているのか.哀れなシロクマ親子の映像,急激に上がる温度のグラフ(ホッケースティック).
卵が先か,鶏が先かも分からないのに(気温が上昇したから,二酸化炭素が増えたのか,その逆か),ストーリ通りにしか解釈をさせない.
さらに過去の物価も考慮しないでプロットされたハリケーンの被害総額.そりゃ,現在の方が詳細にハリケーンも観測できるし,物価も上がっているので,被害総額を生のデータで見たら上昇していて当然だ.
「不都合な事実」の映画やアル・ゴアを「プロパガンダであり,科学でない」と一刀両断.


この本は,目次の他,中の小見出しで,まず必要なことを書いてあるのでその部分だけ読んでもだいたい内容が捉えられて便利.


今この世界を生きているあなたのためのサイエンス 1

今この世界を生きているあなたのためのサイエンス 1

今この世界を生きているあなたのためのサイエンス 2

今この世界を生きているあなたのためのサイエンス 2