アンネの日記/アンネ・フランク

おそらく,世界で一番読まれている日記.
多感な15歳のユダヤ人の少女が,平穏な生活から,隠れ家へ移動し,そして強制収容所で亡くなるまでの日記.
もちろん,隠れ家から引っぱりだされた後は,日記なんてなくて,日記の最後は「じゃあまた」で終わっている.
いつも,日記の冒頭にある「親愛なるキティー」.誰かと思ったら,架空の第三者*1らしい.


とくにユダヤ虐殺がどうこうというセンセーショナルな内容ではなく.
隠れ家での日々.狭いところに2家族+1人の合計8人が暮らしているといろいろある.
アンネがもう1つの家族の息子である同年代のペーターと初キスをしたとか,
ユダヤ人らしく終止議論がたえないとか.正直言って,そんなに面白くない.


彼女の日記を解析したら,不安な様子,健康状態等分からないかなと,
ふと思って読んでみたのだけれど,想像以上に彼女自身が前向きで,
自分の状況を良く分かっていて,ちょっと一筋縄でないかない印象だった.


アンネが収容所で亡くなってからわずか1ヶ月後には,収容所は解放された.
家族では父のみが生き残って,その後スイスで再婚し,娘アンネの日記を一生大事に保管していたとのこと.


かけがえのない日常の記録.
日本でも,大震災で亡くなった方のブログがそのまま,残されていたりする.
何か汲み取れることはないか,そんな大げさなことではなくても,大切に残したいと思う.
それは世界中で共通した感情だから,彼女の日記もまた,内容は変哲がなくても,
ずっと絶版にもならずに読み継がれているのだと感じた.


増補新訂版 アンネの日記 (文春文庫)

増補新訂版 アンネの日記 (文春文庫)

*1:「第三者(アンネはキティーと呼称)に宛てた手紙を模した独特な表現スタイル」 Wikipedia「アンネの日記」より.